〈 ペンシルヴェニア州(Pensylvania)フィラデルフィア(Philadelphia)は、
イギリス人クエーカー、ウィリアム・ペン(William Penn)が建設した地で、
もともと「ペンの森」という意味です。フィラデルフィアは、「兄弟愛」と
いう意味で、宗教の違いで争うことのない、自由な町を作ろうという理想を
もって築かれ、フレンド派の町としてよく知られています。〉
『新渡戸稲造ものがたり』p.65〜66より
フィラデルフィアの街の中心に建つ市庁舎の最上部には、ウィリアム・ペンの像が
街を見下ろしています。
新渡戸博士は、札幌農学校の教授時代に、『ウィリアム・ペン伝』(1893年)、
『建国美談』(1894年)を書いています。
新渡戸博士が留学し、結婚した当時のフィラデルフィアについて調べるために、
フィラデルフィア・フリー・ライブラリーに行きました。
ここで、当時の地図で住所表記の確認、当時の街の写真を閲覧しました。
ジョンズホプキンズ大学留学時代に、フィラデルフィアを訪れていたのは、
1884年〜1887年のころです。そして、ドイツ留学を終えて、フィラデルフィアで
結婚したのが、1891年1月1日です。
地図のセクションで相談すると、大きなアトラスの地図を二つ出してくれました。
1885年版と1908年版です。そして、係の人が一緒に目的の住所を探してくれました。
現在の地図と見比べてみても、住所表記の変更はないようです。
アトラスの地図『フィラデルフィア』1885年 |
1890年代のフィラデルフィア('Still Philadelphia'より) |
当時の写真を見ると、新渡戸博士の過ごしたころのフィラデルフィアが
まだまだ発展途上の街だったことがよくわかります。