この日、盛岡から上京された藤井茂様(新渡戸基金事務局長)と
開成学園の橋本弘正先生を訪ねました。
私は数年前に、私学教育の研究授業の視察に同校を訪ね、橋本先生のご講演も
聴きましたので、それ以来の訪問です。
橋本先生は、新渡戸稲造博士の代表的な著書である『武士道』を、同校の生徒たちに
教える教育を導入された方です。
当時の在校生の保護者のお一人で、英文学者の大森恵子様が橋本先生の依頼を受けて
翻訳され、教材としました。
その後、この教材は、新書『高校生が読んでいる武士道』(角川書店)として、
出版されています。
『武士道』は、新渡戸博士が37歳の時、アメリカで英語で出版されました。
さまざまな引用もされていて、一見難解な内容ですので、この解説書は
大変役に立ちます。
残念ながら、現在、同校では「『武士道』の授業」はもうおこなわれていませんが、
当時の子どもたちの感想文は、胸を打ちます。
大森様のご子息が開成高校を卒業されたのは、平成8年。
その後、しばらく続いた橋本先生の「『武士道』の授業」を受けた生徒たちは、
いま社会の中核となる年代になってきました。
橋本先生はその教え子たちの活躍を大変楽しみにされているそうです。
開成学園の校内を見学した後、校史資料室で杉野様、小宮様にお目にかかりました。
資料室には、卒業生の成績表なども保管されています。
開成学園創立140周年記念「ペンと剣の旗の下」の同窓生一覧には、著名な方々の
お名前が並んでいます。
新渡戸博士と関わりのあった、狩野亨吉、柳田國男らの名前もあります。
その後、みなさんとご一緒に、国立公文書館を訪問し、加藤丈夫館長を訪ねました。
加藤館長は、開成の卒業生で、学園長や理事長も歴任されています。
館長室からは、皇居や丸の内のオフィスビルが一望でき、素晴らしい景観です。
貴賓室で、大変貴重な公文書も見せていただきました。
とても充実した時間を過ごすことができました。
橋本先生をはじめ、開成学園の皆様に心より御礼申し上げます。
左から橋本先生、藤井様 |