2018年5月
『海の武士道』 惠 隆之介 著 産経新聞社 平成20年12月
p.11より
元英国海軍中尉サムエル・フォール卿
「太平洋戦争中の1942年3月2日、ジャワ海で、英国海軍将兵400人以上が
漂流中に、偶然この海域を通りがかった日本海軍の駆逐艦に発見された。
その直前、英海軍将兵たちは約24時間近く漂流していたため、
生存の限界に達していた。軍医はすでに自決用の劇薬を全員に配布し
終えており、仲間のうち数人はそれを服用しようとしてフォール卿から
制止されていた。
自決をためらうフォール少尉は、眼前に突然現れた日本海軍の駆逐艦を
見た時、『日本人は野蛮』という先入観から、いよいよ機銃掃射を受けて
最期を迎えると覚悟した。
ところがその駆逐艦『雷』(1680トン)は、直ちに救助活動に入り、
終日を費やして漂流中の英国海軍将兵全員を救助した」。
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艦長は、工藤俊作である。
同書によると、工藤が学んだ海軍兵学校の校長だった鈴木貫太郎の教育方針は、
「武士道」であったという。生徒の歴史の知識が不足していると感じた
鈴木校長は、文学士の教授に頼んで、講義をしてもらった。
艦長となった工藤もまた「鉄拳制裁(こらしめるために殴ること)」を
禁止し、民主的なリーダーシップを発揮して乗員たちに慕われた。
上記、フォール卿は、日本海軍による友情あふれる救助活動に対し、
次のように語ったそうである。
「日本の武士道とは、勝者は驕ることなく敗者を労り、その健闘を称える
ことだと思います」。
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